某大手損害保険会社の自動車保険部門サービスセンター(SC)で働いていた時の備忘録。
仕事で得た知識を書き留めています。
自動車保険の補償内容、特約について。
交通事故の示談代行の実務について書いています。

自動車事故部門の仕事

自動車保険の保険金、物損編

投稿日:2009年2月7日 更新日:

自動車保険の保険金は、物損事故であれば、通常は車を修理した修理工場に直接、修理代金として支払われます。
自動車の修理代金=損害額の認定については、こちらの記事をどうぞ。
車も全損になるくらい派手に壊れてしまえば、即時、修理工場に入庫するなり廃車手続きをするなりしますが、走行に支障のない程度の損害で、普段、車を使っていて、なかなか修理に出す暇がない。という方もいらっしゃいます。
そういう場合は、どのように自動車保険の保険金が支払われるのでしょうか?
車両保険対物賠償保険ともに共通する事項、違う事項がありますので、以下にてご説明しますね。

自動車保険の損害額の認定は、修理する前でも可能です。
自動車保険で車を修理する際、必要なのは事故車の写真と修理見積書。
修理見積書を取るのが難しい時は、事故車の写真だけでもOKの場合もあります。
自動車保険で事故車の写真がなぜ必要なのか?それは、損害保険の基本「実損てん補」の考え方に基づいています。
損害保険の実損てん補とは、被った被害・損害を金銭に換算して、その分だけ保険金として支払うというもの。
前提条件として、損害を被ったことを証明しなければなりません。
ありもしない損害を申し出て保険金を受け取ろうとするなんて、完全に保険金詐欺ですから。
自動車保険では、損害の証明が事故車の写真になります。事故車の壊れている部分を写真に収め、保険会社の技術アジャスター(査定担当者)が確認することで、損害額を確定し保険金として支払うことができます。
事故車の写真の撮り方は、ナンバープレートを含む全体像、壊れた個所を数枚ずつ。損害箇所だけでなくナンバープレートも入れるのは、自動車保険を契約した車、もしくは交通事故の相手方として確認済みの車だと証明するためです。
ただし損害が大きくて、写真だけでは内部の損傷などが確認できない場合は入庫をお願いするか、技術アジャスターが事故車を直接、確認しに行くことになります。

いつものことながら前置きが長くなりました。本題に入ります。(汗)
自動車保険の保険金は、上記のような手順を経て支払われます。
なので、最低限、事故車の写真があれば、保険会社の技術アジャスターに修理見積もりを作ってもらい、その金額を保険金として受け取ることができます。
この際、事故車の修理の有無は問われません。
だから先に保険金を受け取っておいて、後で暇を見て修理する、ということも可能です。
さらに自動車の修理には正直、高い・安いがあります。参考はこちらの記事を。
保険会社の査定は、はっきり言って最高価格の修理方法です。
個人でカーコンビニ倶楽部みたいなところで修理した方が、ずっと安く済みます。
ということはつまり、保険金と実際の修理費の差額を得してしまうのですっ。
ただしこの方法にはデメリットもあります。
車両保険の代車特約、対物保険の100:0の代車が出なくなる可能性があります。
車両保険の代車特約は、(少なくとも私の就職していた保険会社の約款では)代車の貸し出しは事故日から30日限度、ただし事故後すみやかに入庫できないやむを得ない理由がある場合は入庫から30日間。とあります。
やむを得ない理由というのがかなり微妙な感じですが、事故日から1年も経過してから入庫し、代車特約を使おうとしても、お断りすることがあります。
事故日から数か月程度ならまず大丈夫だとは思いますが。
また、対物賠償の代車については、もっと厳しい認定になります。
対物賠償で車を修理せず損害額を保険金として受け取る場合は、基本的に代車の代金は出ません。
代車は間接損害といって、直接損害の車の損害箇所とは違い、発生しない「かもしれない」からです。
修理工場からサービスで代車を出してもらえるかもしれないし、そもそも修理期間中に車を必要としないかもしれない。
代車特約、対物賠償ともに実際に代車を使ったならば、その分は保険金で支払われます。
レンタカー認定を受けたレンタカーならその代金、それ以外であれば謝礼として日額税込3000円が支払われます。
自動車を修理せずに保険金を受け取る場合、修理費用の差額では得をするかもしれないけど、その他の面では損をしてしまうことも考えられます。
また、私の担当した自動車事故の案件では、一度、修理せずに保険金を受け取り、修理しないまま数か月してまた同じ個所をぶつけたと偽って、架空の請求をしてきたケースがありました。
立派な保険金詐欺です。
事故受付当初から契約者の挙動が怪しくて、過去の案件を見てみたら同じ個所の損害。しかも未修理。
修理する予定といっていた修理工場に確認をするも、工場は修理したと言っているけど領収書や部品の納品書などは無いという。
過去の事故車の写真と今の車の傷を技術アジャスターが直接見に行って比べ、間違いなく同じ傷と確認し、保険金の支払いは拒否しました。
同時に保険金詐欺の要注意人物として、ブラックリスト入りさせていただきましたとさ。次期の契約更新はお断りです。
最初の案件で数十万をもらって味をしめたのでしょうが、そう簡単にはいきません。
事故車の写真を撮るのは、損害の証明と同時に事故車の記録でもあるのです。
くれぐれも保険金詐欺なんて考えないで下さいね。けっこうな確率でばれますから。
それがたとえ、車両保険として未修理の保険金を受け取り、今度は対物賠償の被害車両として別の保険会社と示談することになったとしても、事故車のマッチングは保険会社間でも行われています。
未修理で保険金を受け取り、修理費用の差額を得するのは悪いことではありませんが、詐欺はもう犯罪。
そんなわけで、保険会社ではすっきりと事故車を修理することをお勧めしてきます。(笑)

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-自動車事故部門の仕事


  1. 保険被害者 より:

    まず代車は謝礼ではありませんよね?
    保険法で支払い義務が無いものは払えませんよね?ましてや、代車をお礼として払うなんて約款に書いてないですよね?あなたの会社が、不払いをし易いようにそうしていただけではないでしょうか?
    間接損害の意味を間違えていらっしゃるようです。それに保険会社の修理見積もりは、公正な見積もり大会において、正しい修理見積もりよりも、40%も少ない金額だった事をご存知無いのでしょうか?例えば、車両左側後ろ側面にぶつかって、右側の後輪タイヤハウスにズレがあったとしても、保険会社は認めないの一点張りだった事があります。
    技術アジャスターは、弁護士資格な無いにも関らず、加害者と被害者の間に立てるのは、不当に高い修理代金を出さないためという保険会社の都合を認めるかわりに、保険会社と修理工場の中立である事を条件に、特例として認められた制度で、保険会社の技術アジャスターではなく、立場上被害者と加害者と修理工場の調停を取り持つ中立な第三者でなければ成りません。保険会社に所属していれば、さぞ保険金支払いが高いように感じたのでしょうが、それは机の上ではそう見え、土日も休んでいたから幸せで気が付かなかっただけで、実際はそうではありません。そういったところからも、民法709条や722条や417条あたりを学んで、関係法を勉強して頂き、中立な考察をして頂ければ、あなたの経験は多くの人の役に立つと思います。

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