某大手損害保険会社の自動車保険部門サービスセンター(SC)で働いていた時の備忘録。
仕事で得た知識を書き留めています。
自動車保険の補償内容、特約について。
交通事故の示談代行の実務について書いています。

自動車事故部門の仕事

人身事故の示談と実況見分調書

投稿日:2008年10月11日 更新日:

実況見分調書とは、交通事故で人身事故を起こした場合、警察は刑事事件として事故直後に実況見分(現場調査)を行い、その結果を書面にまとめたものです。
実況見分調書は、後々の示談交渉や過失割合、損害賠償の根拠、証拠となる重要な書類です。
実況見分調書について、ご説明してみようと思います。


 
実況見分調書の性質は、交通事故、人身事故の状況をはっきりさせるためのもの。
交通事故、人身事故が起こった直後に、刑事事件として警察官が作成します。
人身事故は刑事事件、自動車運転過失致死傷罪などの犯罪なのです。
交通事故、人身事故の当事者を(救急車で運ばれたとかでない限り)立ち会わせ、当事者の説明も聴取して記録します。
実況見分調書は人身事故の状況の記録であって、立会人や当事者の意向を確認するものではありません。
当事者の同意を必要とする類のものではないのです。
当事者の言い分を聴取して作成される書類は、供述調書です。
供述調書は交通事故、人身事故から後日、警察署や検察所に行って警察官や検察官が作成します。
供述調書は民事訴訟において特に重要な証拠となります。
詳しくは別記事にて。
実況見分調書の内容には、見分の日時、場所、立会人の名前、現場の道路状況、運転車両の状況、立会人の指示説明などが記載されます。
現場の道路状況は、路面は乾燥していたか濡れていたか、カーブや上下の坂道か、交通規制の有無など。
運転車両の状況とは、車両の登録番号(ナンバープレート)、初度登録(年式)、車検の有効期間、損傷した部位や損害の程度などになります。
立会人の指示説明は、最初に相手を発見、認めた位置・地点やブレーキを踏んだ地点、相手車両と衝突した地点などです。
交通事故が起こる前から、衝突までの流れですね。
実況見分調書には上記の内容に加え、交通事故の現場の見取り図や現場の写真などが添付されます。
交通事故当時の生々しい写真、詳細な見取り図、当事者の直筆の供述書や指紋認識カードまで、実況見分調書はかなりスゴイつくりになっています。
人身事故のたびにこれを作っているのですから、警察官には頭が下がります。
実況見分調書を見れば、その交通事故の細かい点までわかります。
そのため、刑事裁判では最も重要な証拠として取り上げられます。
示談交渉や民事裁判の場合でも、過失割合の認定などに大きな影響を与える根拠となります。
実況見分調書は非常に重要な証拠となりますので、加害者・被害者を問わず、必ず立ち会うようにして下さい。
実況見分に立ち会う際は、交通事故時の状況をなるべく冷静に思い出して、双方の正確な位置関係などを警察官に説明して下さい。
加害者と被害者の間で、食い違うような説明があっても、それが事実と違うと思ったら、簡単に妥協してしまわずに、実況見分調書に本当のところを記載してもらうようにして下さい。
そして、自分の説明した内容が実況見分調書にきちんと記載されているかどうか、実況見分調書を見せてもらって確認するのも大事です。
実況見分調書は刑事事件の証拠として、書類送検されるものです。
加害者を起訴して裁判にするかどうかは、検察官が決めます。
最終的な刑事処分は、裁判所が裁定を下します。
人身事故の加害者の責任は3つ。
★懲役や禁固刑及び罰金刑などの刑事処分
★交通違反と同様に免許証に対して累積点数に対して効力の停止・取り消しが行われる行政処分
★過失割合に応じて損害賠償を行う民事処分

被害者のケガの程度によっても刑事処分・行政処分は変わってきます。
刑事処分は怪我・死亡時は自動車運転過失致死傷罪、悪質な場合は危険致死罪の適用になります。
人身事故の罰金刑は原則として最低12万円以上。
数百万円に上る場合もあるそうです。
罰金を経済的に支払えない場合は留置所行きです。
人身事故を起こしたからと言って必ずしも刑事処分が下されるわけではありませんが、その罰則はとても厳しいものです。
刑事処分の決定には、被害者の感情も考慮されます。
被害者は「厳重な処罰」「寛大な処置」どちらを望むか聞かれますので、考えておきましょう。
どちらとも言えなければ、「法に従った適正な処分を」と答えて下さい。
実況見分調書は、罰則を決める際の根拠になります。
加害者にとっては特に、重要なものになるでしょう。
交通事故、それも人身事故の直後で、冷静になるのはなかなか難しいと思います。
取り乱してしまっても無理はないでしょう。
でも、ここでしっかり冷静に対処することができれば、後々の示談交渉や訴訟が有利になります。
冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは被害者・加害者ともに正当な賠償と補償を受けるためのことです。
交通事故でけがや後遺障害(後遺症)、死亡などの目に遭うのは悲惨なことです。
その後の処理で不当な扱いを受けることがないよう、情報と知識を身に付けて下さい。
保険会社の担当者、弁護士や行政書士なども交通事故の当事者の力になります。
人身事故の示談交渉は、場合によっては相当な苦労を負う時もありますが、当事者であるあなたには、法律にのっとった適正な賠償、補償を受ける権利があります。
上記の職種の人々の力を借りながら、その権利を放棄することのないよう、お願いいたします。
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-自動車事故部門の仕事


  1. いほきべ あつし より:

    事故時の車の破損状態と怪我の内容は比例するのですか?
    たとえば、追突でバンパーのみ破損でその破損程度と怪我の傷害とが比例するのか、教えて下さい。

  2. わがつま しんや より:

    実況見分調書には 相手側のライトの点灯についての有無は記載されてますか?
    夕刻での事故で相手側のライトの不点灯によって起きた事故でそれの証拠にしたいのですが。

  3. 雨音 より:

    わがつま様、ご訪問ありがとうございます。
    実況見分調書は、事故の当事者であれば閲覧したりコピーをもらったりできます。
    ライト不点灯が記載されているかどうか、直接確かめてはいかがでしょうか。
    実況見分調書は、保険会社が取り寄せている場合もあります。(取っていない場合もあります)
    もし保険会社にあるならば、それを見せてもらえます。
    ご自分で取り寄せるには、交通事故を届けた交番や担当の警察署に問い合わせれば、閲覧等に必要な手続きを教えてくれますよ。

  4. わがつま しんや より:

    当方 物損事故で処理されているのですが
    警察に直接行った時に 物損の場合は実況見分調書は作られないので 閲覧はできないといわれました。これは確かでしょうか?

  5. わがつま しんや より:

    相手側に書類を送り 
    事故当時のライトの点灯の有無を記載させることで 
    それを証拠にするという方法をどこかで読んだのですが 
    これは現実的でしょうか? 
    できればやり方を教えてください。 
    宜しくお願いします。

  6. 雨音 より:

    物損でしたか。それでは実況見分調書は作られていないですね…。
    記事中でも記載の通り、人身事故の書類です。
    ライトの件は、書類を送る方法は私は分かりません。
    ライトやウィンカーなどは示談がもめる原因としては珍しくないです。
    その際に良く取られる手段は目撃者探しです。
    でもこれは事故から時間が経っていたら難しいでしょうね。
    ライトについては、過失割合やご自分の負担金額にどこまで影響するのか保険会社の担当者に確認した上で、譲歩するかどうか、また譲歩するとしてもどの程度までかなどを担当者と相談してお決めになってはいかがでしょうか。
    何にせよ、ここで私のような者に聞くよりもご自分の担当者に確かめた方が確実です。

  7. わがつま しんや より:

    ありがとうございました。

  8. 吉田元帥 より:

    一昨日に車対バイクでの人身事故で被害を受けました
    本日警察で人身事故として医師の診断書(1週間程度)を提供してきました 当方は被害者バイクです
    それでなのですがこちらの証言は車には当たらず手前でコケたとしていたのですが
    警察が相手の車には新しいキズがついていると写真を見せてきました
    当方は当たっていないのでこちらの当たったであろうキズの写真を見せて欲しい
    こちらの当たった証拠となるものはなんですかと言ったところ
    警察官が当たったであろう右側の写真を撮り忘れていたと言われ当方は当たったとの証拠がなければ調書にサインできないと言いました
    その後警察官がわかりました当たっていませんといい書類を書き直し当たっていないと調書ができました
    これは当方の主張は正しかったのですか?
    今後覆ったりや保険屋との交渉はどう運びますか?
    長文となりましたよろしくお願いします

  9. 雨音 より:

    吉田元帥さま
    事故の件、お見舞い申し上げます。
    ご主張は間違っていないと思います。
    相手方がぶつかったと強く主張した場合は、相手とご自分の保険会社で車とバイクの調査をします。
    この辺は相手の出方次第でしょうか。
    事故時の状況、キズの新しさや位置関係などの整合性を自動車の査定担当者(技術アジャスター)が確認をします。写真で見る時と直接見に来る時があります。
    確認の結果、相手の車の損傷が事故によるものではないと判断されれば、相手方の説得は保険会社任せでいいかと。
    もし事故のキズだと言われた場合は、ご自分の保険会社に調査結果を詳しく聞いて相談して下さい。
    聞けば教えてくれます。
    反対に聞かなければ教えてくれないケースも多いです。
    たいていの保険会社では怪我の担当と車(バイク)の担当が別になります。
    分からないことや納得できないことがあれば、それぞれの担当者と話をしてどういう風に示談交渉を進めるかお決めになるのといいですよ。
    6月29日時点で一昨日とのことですので、示談交渉は始まっていると思います。
    円満な解決とお怪我の回復をお祈り申し上げます。

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