某大手損害保険会社の自動車保険部門サービスセンター(SC)で働いていた時の備忘録。
仕事で得た知識を書き留めています。
自動車保険の補償内容、特約について。
交通事故の示談代行の実務について書いています。

自動車保険について

車両保険と全損

投稿日:2008年9月29日 更新日:

車両保険は、自分の車の補償をする保険です。
相手の車やモノを賠償する対物賠償保険とはまた違った性質を持つ保険です。


 
車両保険の保険金額(支払い上限額)は、車両協定価額といいます。
車両協定価額は、自動車保険の契約更改(更新)時に、1年間の保険期間はこの価格で補償をする、協定する(契約する)ものです。
1か月ごとに減価してゆく時価額が損害賠償の支払い上限になる、対物賠償とは違う考え方です。
とはいえ、同じ車で契約更改を重ねていけば、その分、自動車の価値は減価償却され減っていくわけですから、車両保険の保険金額は年々低くなっていくのが、普通です。
多くの場合、車両保険の協定価額の方が時価額よりも高くなります。
そのため、車が全損になってしまった場合、交通事故の相手方からは時価額が上限の賠償になりますが、車両保険に加入していれば、車両保険の保険金額に加え、全損時の諸費用も支払われます。
全損になった時の示談の記事で、この点に触れるのを忘れてしまいました(汗)
ただし、時価額からすると全損でも、車両保険金額では分損(全損の反対語。修理費が時価額内、車両保険金額以内で収まる状態)ということもあります。
その時は、時価額との差を修理費に充てて、それ以上の費用は特に出ません。
車両保険と対物賠償保険では、そもそも考え方が違うからです。
尚、時価額で全損になってしまい、車両保険で修理費分を支払う、もしくは車両保険の全損として保険金を受け取る場合、100:0、10対0の交通事故で、自分の過失がゼロであれば、等級はノーカウント事故になります。
無事故と同じ扱いで、次年度の契約更改にて等級が1つ上がります。
ただし、ノーカウント事故にするためには、相手方の車両登録番号(ナンバープレート)や車両所有者、運転者などが判明している場合に限ります。
当て逃げの被害にあって相手不明だとダメだということです。
相手方からは時価額を上限とした額が賠償金として支払われ、車両保険からはその賠償金額を差し引いた金額が支払われます。
二重取りはできません(笑)
車両保険の全損時の支払い金額は、車両保険金額+車両保険金額の10%(20万円限度)です。
車両保険金額の10%を全損時諸費用と言ったりします。
車両保険上で全損になった場合は、その車は保険会社が代位します。
保険会社で引き取るということです。
保険会社から提携しているスクラップ工場に持って行きます。
全損になっても修理が可能で、その車を修理して乗り続けたいという場合には、保険会社で車を引き取ることができないので、残存価値を全損時諸費用から差し引きます。
残存価値とは、その車をスクラップ工場に持って行ったら買い取ってもらえるはずの金額です。
これは技術アジャスター、もしくはスクラップ工場の担当者が算定します。
場合によっては「残存価値なし」となる時もあります。
残存価値はたいていは1万円~数万円です。
全損になった車の使える部品、タイヤなどを自分で持って行きたいという場合は、基本的にはダメなんですが、どうしても~という時は残存価値からその分を差し引きます。
また、車両保険で全損になった場合は、車両保険の免責金が設定されていても、免責はなくなり、全額支払われます。
もし車両保険で全損になった車にローンが残っていた場合は、ローン残高に応じて契約者とローン会社に保険金の受け取りの権利が発生します。
でも、ローン会社(多くはディーラーなどの車屋さん)に連絡して、保険金の全額を契約者に支払ってもよい、と確認が取れればそうなります。
以上が車両保険の全損についての概要になります。
対物賠償とはずいぶん違うと感じていただけたかと思います。
ただし、車両保険や人身傷害補償保険、搭乗者傷害補償保険など、契約者サイドに支払われる保険金は、対物、対人賠償よりも条件が厳しいのでご注意下さい。
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-自動車保険について


  1. 黙々連 より:

    尚、時価額で全損になってしまい、車両保険で修理費分を支払う、もしくは車両保険の全損として保険金を受け取る場合、100:0、10対0の交通事故で、自分の過失がゼロであれば、等級はノーカウント事故になります。
    無事故と同じ扱いで、次年度の契約更改にて等級が1つ上がります。
    ただし、ノーカウント事故にするためには、相手方の車両登録番号(ナンバープレート)や車両所有者、運転者などが判明している場合に限ります。
    当て逃げの被害にあって相手不明だとダメだということです。
    この文章についてですが車両無過失特約がある場合にノーカウントになるのでは?
    付いてなければ等級ダウンですよ。
    また相手の情報が必要なのは車対車+Aの時に
    必要とする要件です。

  2. 雨音 より:

    黙々連様
    コメントありがとうございます。
    返事が遅くなってしまい、申し訳ありません(;;)
    車両無過失特約は、車両保険に自動付帯の特約です。
    車両保険に加入していれば、自動でついてくる特約なので、あまり気にしなくて大丈夫ですよ。
    それから、相手の情報が必要なのは車対車+Aの時。おっしゃるとおりです。
    ただこの記事は、自分の車両保険の協定価額と相手方の対物保険の時価額の差を説明したつもりでしたので、そういう意味で当て逃げ等は想定していませんでした。
    >相手方からは時価額を上限とした額が賠償金として支払われ、車両保険からはその賠償金額を差し引いた金額が支払われます
    この部分がその説明でした。
    当て逃げであれば、ノーカウントではありません。車対車+Aでもオールリスクの車両保険でも、それは同じです。

  3. 黙々連 より:

    >車両無過失特約は、車両保険に自動付帯の特約です。
    これも誤りであります。
    自動付帯ではなく任意付帯商品です。
    どこの保険会社に確認いただいても構いません。
    自動付帯の会社があれば教えていただきたいぐらいですが・・・・
    任意付帯商品ですので
    >車両保険の全損として保険金を受け取る場合、
    >100:0、10対0の交通事故で、自分の過失がゼロであれば、
    >等級はノーカウント事故になります。
    この文言が誤りとご指摘させていただいた次第です。
    車両無過失特約
    等級プロテクト
    車対車+Aの要件
    とても似ている要件ですが約款を確認すると判断できます。
    例えばですが同居の親子での事案。
    車両無し 父契約者 父所有者 父被保険者の車が自宅駐車場にて
    車対車+Aあり 子契約者 子所有者 子被保険者の自動車へ当ててしまった場合。
    この自動車保険の使用要件である「相手の確認」が可能な為車対車+Aでも保険使用できます。
    さらに無過失特約の要件も満たしているので保険使用でも保険事故とはカウントされません。
    *本来は求償される事案ですが親族間ですので殆ど放棄してます。
    車対車+Aの使用条件
    ・登録番号
    ・運転者もしくは所有者の住所氏名名称の確認
    この2点が確認できた場合。
    車両無過失特約の使用要件
    ・車対車の事故に於いて被保険自動車の使用・管理に過失がなかった事が確定(保険会社が認めた場合)したとき
    ・車対車事故の相手自動車の登録番号・事故時の運転者または所有者の住所氏名名称の確認。
    ・事故届けがない場合は損傷資料
    これが充足された場合使用できます。

  4. 雨音 より:

    黙々連様
    再度のご指摘、ありがとうございますm(__)m
    最近は自動車保険業界を離れて久しいため、勉強不足かなと思い再度調べてみました。
    車両無過失特約が自動付帯されている保険会社は、
    日本興亜損保
    http://www.nipponkoa.co.jp/catalogue/car_box/cars.html
    損保ジャパン
    http://www.sompo-japan.co.jp/kinsurance/automobile/onestep/sche/sp/con4.html
    日新火災
    http://www.net-yakkan.com/jidousha/20100601/vap-bl/yakkan/index.html
    電子ブックの約款、34ページに記載。
    以上3社の商品にて確認できました。
    あいおい損保、三井住友海上では任意付帯、東京海上日動では取り扱いなし?のようですね。
    この結果をもって、私のひとつ上のコメントのような結論を出すのは軽率でした。ご指摘ありがとうございます♪
    思い込みって怖いですね…。
    約款の読み込みも退職とともにしなくなって早数年。
    だいたいにして現役時代でも自社商品のみの勉強で、他社商品の約款までは手が回っていませんでした。(苦笑)
    このブログは備忘録としての意味合いもありますが、お恥ずかしい次第です。
    かといってこのブログを畳んでしまうのも今となっては少々もったいない気がしますので、今後はなるべく気をつけつつ書きたいと思います。
    言い訳めいていますが、
    http://koutsu-jiko-sc.seesaa.net/article/116459772.html
    この記事にて当ブログのスタンスを書いておりますので、ご一読いただけると幸いです。

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