某大手損害保険会社の自動車保険部門サービスセンター(SC)で働いていた時の備忘録。
仕事で得た知識を書き留めています。
自動車保険の補償内容、特約について。
交通事故の示談代行の実務について書いています。

自動車事故部門の仕事

示談の成立と効力

投稿日:2008年9月28日 更新日:

示談とは、民事上の紛争をしている当事者が、裁判外にて当事者間で話し合い、譲歩し合ってその争いを解決すること。
示談解決が和解にあたるということは、以前もご紹介しました。
交通事故示談の成立は、示談書や承諾書(免責証書)に署名・押印をする、口頭での示談に応ずる、などの方法があります。
いずれの方法も法的拘束力を持ち、損害賠償額が確定すればそれ以上の請求はできないのが原則です。
裁判の判決と同じような効力ですね。
言いかえれば、交通事故損害賠償額に納得して和解してもいいと思ったら、示談成立となるわけです。
でも、示談無効となるケースもあるので、それについてご説明したいと思います。


 
示談無効になるケース、と上で書きましたが、示談の効力がなくなるという意味では、「無効」と「取り消し」の2種類があります。
無効は、示談の効力が最初から発生しないこと。
つまり示談自体がそもそも存在しなかった、ということです。
取り消しは、示談成立から取り消されるまではその内容が有効。
取り消しする権利のある当事者が、取り消しを主張すれば、示談成立までさかのぼって(遡及)示談無効になります。
取り消さなければ、そのまま示談内容は有効です。
ええい、くそややこしい!(失礼)
弁護士でも法律家でも、法科大学を卒業したわけでもなんでもない私は、損保会社に勤務していた時、このような法律系の研修で寝ないようにするのに必死でした(笑)
閑話休題。
示談についてもう少し補足、示談は民法上の和解、または和解類似の無名契約にあたります。
契約である以上、正当な条件下でなくとも示談は可能ですが、やはり原則として強制力があります。
以下に示談無効になる場合と取り消しになるケースを説明します。
無効取り消しになると、示談のやり直しを認められる場合があります。
★錯誤があった時
 民法95条「錯誤」に定められています。
 示談の重大な部分に錯誤(勘違い、正しい理解がされていない)があった場合です。
 交通事故が起きた当時、相手方から全面賠償の示談を迫られ、承諾したり一筆、書いてしまった時なども錯誤にあたり、取り消しを主張できます。
 取り消しですので、主張しないとその示談が効力を発してしまいます。
 示談当時、予想できなかった後遺障害が発生した時も、その損害が大きい場合は示談の無効、もしくは追加で請求ができる場合があります。
★詐欺・脅迫によるもの
 だまされたり、暴力団関係の人に脅されたりした示談も取り消しできます。
 実際、ヤクザさんの事務所に数時間、監禁された契約者がいて、その話を聞いて皆で「怖いねー」と言い合いました(汗)
 直接、脅迫されなくとも暴力団相手の交通事故なんてビビります。
 保険会社を必ず通しましょう。保険会社の担当者もビビりますが(笑)
★当事者が未成年者の場合
 未成年者が法律行為(示談)を行うには、親権者などの法定代理人の同意が必要です。
 同意がなければ示談が取り消される場合があります。
★公共良俗に反するもの
 犯罪行為の強要させるような示談は無効です。
★当事者が成年被後見人である場合
 成年被後見人とは成人しても、精神障害などの理由で法的な判断能力が欠如されている人のことをいいます。
 示談は取り消しになります。
などなど。
この辺りはややこしいので、法律の解説サイトや弁護士、行政書士のサイトを見ると詳しいです。
私が物損の交通事故の担当をしていた案件では、事故車の修理後、示談書省略にて口頭で示談をした件がありました。
その案件では、示談後に事故車に不具合が残っていると連絡があり、修理費はどうなるのかと聞かれました。
答えは、再度、修理工場に入庫して、その不具合がその交通事故によるものだと保険会社で確認できれば修理費を追加で支払う、です。
交通事故との因果関係が確認できなかったり、確認する前に修理してしまったりした場合は、保険金の支払いはできません。
また、その不具合も交通事故から何か月も経過してからでは認められない場合が多いです。
追加の損害賠償が発生した場合は、当事者(契約者と相手方)に連絡を取り、示談内容の変更と、再度の示談をしました。
示談書や承諾書に署名・押印をした場合でも、正当な理由と因果関係があれば認められるケースも多いです。
ただし、そういう時は必ず事前に保険会社に連絡をして下さいね。
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