某大手損害保険会社の自動車保険部門サービスセンター(SC)で働いていた時の備忘録。
仕事で得た知識を書き留めています。
自動車保険の補償内容、特約について。
交通事故の示談代行の実務について書いています。

自動車事故部門の仕事

事故担当者が選ぶ自動車保険

投稿日:2008年9月25日 更新日:

自動車事故部門の仲間たちと、自分の自動車保険選び方を雑談したことがあります。
交通事故を多く見てきた人たちの保険や特約に対する評価比較おすすめです。
自動車保険の見積もり選び方見直しの参考になると嬉しいです。


 
新人時代のお話です。
総合職として入社したA君は、会社から色々物を買わされていました。
背広やら車やら。
車は得意先のディーラーで、新車を買わされたのでした。
マツダのデミオです。
新人のお給料で払えるはずもなく、ローンを組みまくったそうです。
そして自動車保険はもちろん自社のもので、本人に選択の余地なく、とっても豪華な内容で高い保険料の内容にされてしまいました。
A君
「僕の自動車保険、マツダの担当者に勝手に見積もりされて加入されたんだ。これ、契約内容」

「どれどれ…何これ。すごいゴージャスじゃん。保険料たかっ」
Bちゃん
「こんな特約、付けてる人いないよ」
A君
「まあ、新規で等級低くて割引率も低いし、僕まだ23歳だから年齢制限でも保険料高いんだけどね」※1・2

「にしても無駄多くない?」
Bちゃん
「多い、多い。無駄だらけ」
A君
「うん、来年の更改(更新)時には自分で見直しして内容選んで、保険料を安くしてやる」

見直してどういう保険種類にする?」
A君
「自社商品よりSAPにする」※3
Bちゃん
「あー、うちの会社の保険料、高いもんね。SAPだと保険料安くなる?」
A君
「かなり保険料安くなるね」

「へー。でも自社商品もSAPも基本的に賠償も補償も内容変わらないじゃない。そりゃ多少は自社商品のが手厚いけど」
Bちゃん
「そうだよねー。SAP安く済むんだね」
A君
「うん。で、SAPにして。車両保険は車対車A(エコノミー)特約で、免責5-10にして、免ゼロ特約をつける」※4・5

「せこいな、それ」
A君
「賢い選び方って言ってよ。運転者制限は本人・配偶者限定」
Bちゃん
「A君、配偶者どころか彼女もいないでしょ~(笑)」

「Bちゃん、それ言っちゃダメ!(笑)」
A君
「本人限定って特約、無いからしかたないでしょーが…。他社には本人限定あるみたいだけど」
Bちゃん
「ふーん、独身者向けだね。それとも奥さん運転しないとかかな」
A君
「任意保険の対人賠償保険と対物賠償保険は保険金額無制限にする」
Bちゃん
「うん、それだと安心。保険金額の設定で保険料そんなに変わらないって聞いたし」
A君
「人身傷害補償保険は必須」

「だね。人身傷害加入しないのはあり得ないわ」
A君
「搭乗者傷害補償保険はどうしようかなあ?人身傷害があれば、いらないといえばいらないし…」
Bちゃん
「料金次第かな?」
A君
「そうだね。まあ、いらないかな。で、特約だけど」

「対物全損時修理差額、絶対必要!」※6
Bちゃん
おすすめ!必須!」
A君
「分かってるって。対物全損時修理差額はつけて。代車特約は提携工場に入庫すればサービス代車出してくれるから、いらない」
Bちゃん
「某提携工場、代車たくさんあるみたいだものね」
A君
「特約はそんなものかな。他のは無駄が多いからいらない」

「うん…ゴルフ特約とか意味不明だし」
A君
「保険自由化で各社が競って商品開発して、わけのわからないものが出た、と」
Bちゃん
「そういえば個人賠は?SAPに個人賠特約あったっけ?」※7

「ないかも。個人賠はあると便利だよね。保険料も安いし」
A君
「うーん。個人賠は火新でそれだけ加入してもいいかな」※8
Bちゃん
「そっかー、それでもいいね」
A君
「よし、来年の見直しはこれで行くぞ!」
※1
新規で加入すると6等級からスタートです。
6等級の保険料の割引率は10%。7等級になると20%の割引率です。
※2
年齢制限は無制限、21歳未満、26歳未満、30歳未満、35歳未満の区分があります。
A君の場合は21歳未満不担保。
つまり21歳未満の人が運転して交通事故にあったら保険が出ませんよということ。
年齢制限は無制限が異常に高く、21歳もけっこう高く、26歳くらいから安くなってきます。
※3
SAP(エスエーピー)。サップと読んではいけません。
保険商品自由化の前からある各社共通の基本的な自動車保険です。
基本補償は各社共通で、特約に多少の違いがあります。
※4
車対車A特約、エコノミー特約は車両同士の交通事故に限って車両保険を適用するというもの。
自損事故では対象外です。
相手車両の所有者や登録番号(ナンバープレート)が判明していることが条件ですので、当て逃げは適用になりません。
ただし、車両同士の交通事故でなくとも、等級据え置き事故については車両保険が請求できます。
オールリスクの車両保険に比べて、保険料はかなり安いです。
※5
車両免責5-10とは、1年度の契約期間中に1度目の事故は免責(自己負担金)が5万円、2回目以降の事故は10万円という意味です。
免ゼロ特約は、車両同士の交通事故に限り、1年度の契約期間中に1度のみ5万円の免責をゼロにするもの。
車両免責を設定しないより、免責5万&免ゼロ特約の方が保険料が安いです。
ただし、等級据え置き事故には免ゼロが適用になりません。
※6
対物全損時修理差額特約は、相手車が全損になった時、時価額に50万円まで上乗せして修理費を支払えるという特約です。
全損は示談がもめる要因。
この特約が付いていると、とりあえずほっとします。
※7
個人賠は個人賠償責任保険の略。
キャッチボールしてて隣家の窓ガラス割ったとか、お店で商品を壊してしまったなど「弁償しろ!」に対応する保険です。
相手にけがをさせてしまった場合の損害賠償もできます。
※8
火新は火災・新種保険の略。
自動車保険以外の損害保険(損保)を指します。
火災保険は従来からありますが、保険商品自由化以降に新しく開発された保険を新種保険といいます。
個人賠償責任保険は新種保険になります。
自動車保険の特約としてだけはなく、個人賠償責任保険だけを単独で加入することもできます。
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
自動車事故、交通事故担当者の目線で自動車保険を考えてみました。
自動車保険見積もり選び方見直しの参考になると嬉しいです。
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