某大手損害保険会社の自動車保険部門サービスセンター(SC)で働いていた時の備忘録。
仕事で得た知識を書き留めています。
自動車保険の補償内容、特約について。
交通事故の示談代行の実務について書いています。

自動車保険について

人身傷害補償保険と人身事故

投稿日:2008年9月22日 更新日:

人身傷害補償保険は、交通事故での契約者サイドの人身事故、人身損害(けが、死亡など)に対して支払われる保険です。
自損事故保険、搭乗者傷害補償保険と併せて、過失割合に関係なく人身事故の保険金が支払われることは、以前の記事でご説明しました。
この記事では、人身傷害保険や対人賠償保険で保険金支払いの対象になる、人身事故、人身損害について解説します。


 
人身傷害補償保険は、損保(損害保険)の基本にのっとった保険。
失われたものを金額に換算・算定して、その分をお金で支払う保険です。
人身損害とは、交通事故ケガ後遺障害死亡によって被った被害を指します。
人身事故の被害ってことですね。
賠償・補償の一覧は以下の通りです。
★ケガの治療関連の損害
1.治療費
 交通事故によって負った怪我の治療にかかった費用です。
2.交通費
 治療のために通院した交通費です。
 基本的には公共交通機関の代金ですが、タクシー代が認められる場合もあります。
3.入院雑費
 入院中は何かと費用がかかるもの。
 1日1100~1500円程度の雑費が認められます。
 医師や看護師への謝礼は対象外ですが、非常に特殊な判例で認められたケースもあるにはあります。
4.付き添い看護費
 原則、12歳以下の子供の被害者に認められます。
 判例では成人に認められたケースもあります。
5.慰謝料
 交通事故で負った精神的な苦痛に当てられる金銭です。
 自賠責では1日4200円。
 人身傷害保険も基本的にこれに準じますが、長期化すると減額されます。
6.休業損害
 ケガによって仕事を休まざるを得なかった日数に応じて支払われます。
 現在の収入減を損害とします。
 有給休暇を使った場合、収入減にはあたりませんが損害として認められます。
 主婦も家事労働者なので、一定額が支払われます。
 無職だと…収入がないものとして、対象になりません(汗)
★後遺障害の損害
後遺障害、後遺症とは治療が終わっても完全に治らず、具合の悪いところが残ってしまうことです。
症状固定(それ以上は治らないこと)後は、休業損害から後遺障害に補償が切り替わります。
1.後遺障害慰謝料
 上記のケガによる慰謝料の他に後遺症による慰謝料が請求できます。
 後遺障害には1~14等級あり、1等級が最も重い障害です。
 後遺障害慰謝料は、等級に応じた金額が支払われます。
2.逸失利益
 後遺症のためにそれまでの仕事ができなくなった場合、本来であれば得られた収入を得られなくなります。
 その収入減をを損害とし、逸失利益として請求できます。
 逸失利益は将来に向かってのものなので、無職者でも交通事故前に労働能力を持つ人であれば請求可能です。
 主婦や子供・学生も対象になります。
3.その他損害
 社会通念上必要かつ、妥当な実費と言われます。
 自宅をバリアフリーにするとか認められる場合もあります。
★死亡の損害
1.葬儀費用
 お葬式の費用です。原則は90万円まで。
2.死亡慰謝料
 被害者の死亡への慰謝料です。
 被害者の年齢・性別・職業、地域差、家族や生活への影響などから算出されます。
3.逸失利益
 被害者が生きていれば、将来得られたはずの収入を損害として請求できます。
 無職者や主婦、子供も算定の対象になります。
人身損害を被って保険金を請求する場合は、警察への人身事故届が必須になります。
対人賠償保険も同時に使うなら特に気にする必要もありませんが、自損事故(単独事故)や100:0事故で人身傷害補償保険だけを使いたい時も人身事故届が必要です。
人身事故届を出せば当然、運転免許の点数引きなどペナルティが来ます。
軽いけがなら健康保険使っちゃった方が面倒がなさそうですね。
これ、前記事に書こうと思って忘れちゃった(汗)
ここで紹介したのは基本的な事柄ですが、何せ元・物損担当で人身事故は詳しくないため、改めて勉強するはめになりました(笑)
具体的な金額の算定などは、示談がもめる要因になりがちみたいです。
後遺症の等級が何等級になるか、とかも。
保険会社は賠償金、補償金をなるべく低く示談交渉してくると言いますが、少なくとも建前上は「適正支払」を掲げていました。
物損事故ならほんとに、出せるお金はちゃんと出す、修理費をケチったりもしない、という示談交渉と損害認定の仕事だったのですが、人身事故の方もそうだったと信じたいです。
でも、自分で情報収集をして疑問をどんどん担当者に聞いてみるのはとてもいいことだと思います。
交通事故なんてみんなが不幸になるだけ。
たとえ正当な賠償金や補償金をもらったとしても…。
3年、交通事故担当をしてきた感想です。
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  1. 喜多川 より:

    はじめまして。現在、自分の交通事故の整理をする必要があり、人身障害補償について調べていてたどり着きました。
    保険会社のHPなんかよりも100倍分かり易く、よく理解できました。現場のプロの生の言葉には得も言えぬ説得力がありますね。
    いろいろ拝見して、大いに参考にさせていただきます!

  2. 雨音 より:

    ご訪問とコメントありがとうございます。
    お褒めいただいて光栄ですけど・・・・ちょっと褒めすぎですよ(汗)(><;)
    他にも参考になるサイトはたくさんあると思いますので、探してみて下さいね。

  3. kenji より:

    お尋ねしたいのですが、
    慰謝料で自賠責では1日4200円。と記載がありますが、
    保険会社から自賠責では1日4200円*通院日数*2で慰謝料を算定されました。
    通院日数*2というのはどういう根拠で採用されているのでしょうか?

  4. 雨音 より:

    こんにちは。ご訪問ありがとうございます。
    自賠責については基礎知識くらいしかなく、ちょっと調べてみた結果。
    自賠責の慰謝料は、治療期間と実治療日数が基準になります。
    治療期間とは治療の開始日から終了日までの日数です。最初に病院行って治療を始めて、完治してもう来なくていいですよーと言われるまでですね。
    実治療日数とは、実際に通院したりして治療を行った日数です。毎日、通院するわけじゃありませんものね。
    で、治療期間と「実治療日数*2」を比べてどちらか日数の少ない方を通院期間として、その日数に4200円をかけて算定します。
    ・・・・と、いうことです。
    kenji様の場合、治療期間よりも実治療日数=通院日数が少なかったため、通院日数*2にて慰謝料が算定されたと思います。
    実は。これ、Googleで「自賠責 二倍」と検索をかけて一番最初に表示されたサイトの情報です(汗)
    知識不足で申し訳ありませんが、そういうことでっ。

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