某大手損害保険会社の自動車保険部門サービスセンター(SC)で働いていた時の備忘録。
仕事で得た知識を書き留めています。
自動車保険の補償内容、特約について。
交通事故の示談代行の実務について書いています。

自動車事故部門の仕事

全損について

投稿日:2008年9月13日 更新日:

にほんブログ村保険情報 人気ブログランキング保険情報
全損。
自動車事故部門の物損担当者は、全損と聞くと溜息をつきます。
示談もめる要因だからです。
全損にも2種類あって、車両全損と対物全損です。
車両全損は車両保険の全損。
これは、事故対応としてはさほど問題ありません。
車両保険の保険金額と諸費用を契約者に支払い、車を引き取って終わりです。
車ローンが残っていたりすると少し面倒ですが、それでも大したことはないです。
問題は対物全損です。特に100:0交通事故。
対物賠償は、時価額を上限に賠償金が支払われます。
自動車の時価額を出すのには、中古車市場を元に作成された「レッドブック」という本を使います。
レッドブックには各メーカーの車種が、年式・型式別にそれぞれ値段が出ています。
減価償却がありますから、古い車ほど値段は低いです。
この値段が時価額です。
ただし、レッドブックには5~6年くらい前までに発売された車しか出ていないので、それより古い車は新車購入時の10%を時価額とします。
他に北海道版レッドブックとして「シルバーブック」というのもあり、レッドブックよりは古い車の値段も出ているので、これも時価額の参考にします。
基本的に時価額はレッドもしくはシルバーブック記載の値段、もしくは新車価格の1割ですが、車検残(残りの車検期間)や走行距離、オプションなどにより上乗せされる場合があります。
なぜ、時価額を上限に賠償金を支払うのかというと。
損害保険、自動車保険は実損損害を補償するもの。
時価額はその車の価値の値段です。
たとえば時価額40万の車の修理費が60万円かかったとしても、対物賠償としては40万円までしか出せません。
40万円の価値のものに、それ以上の修理費をかけるのは対物賠償の範疇からはずれるのです。
自動車の時価額は上記のとおり中古車市場を元に出すので、同程度の車であれば40万円で買えることになります。
40万円で同程度の車が買えるなら、修理費に60万円は出せません。
と、いう理屈です。
これは時価額の値段はともかく、裁判やっても判決はそうなります。
この説明に納得する人もいれば、しない人もいます。
時価額が低すぎる、あるいは愛着のある車だから修理したい。
というのが多い理由でした。
こういう時のために「対物全損時修理差額」という特約があって、時価額を超えても50万円までは時価額に上乗せして修理費を支払う、というものです。
自動車事故担当者は、この特約が付保されているとほっとしたものです。
時価額に納得できず、修理もできない場合は、時価額の交渉に入ります。
これは、技術アジャスターの仕事です。
時価額の上乗せができるならして、電話や面談で相手方を説得します。
または、時価額と修理費の差が少しの時は、リサイクル部品を使って費用を抑えたり、修理工場におまけしてもらって時価額内で収めていました。
とにかく何とか折り合いをつけて、示談にします。
保険会社の説明を聞き、納得いくまで確認してみてください。
自分の車に車両保険が付保されていれば、それを使う手もあります。
(その詳しい説明はまた別の記事で)
示談までの道は時にはすんなりですが、もめることも多い道です。
にほんブログ村保険情報 人気ブログランキング保険情報

-自動車事故部門の仕事
-

関連記事

no image

自賠責保険の慰謝料の計算

自賠責(自動車賠償責任保険)とは、法律で加入が義務付けられている強制保険で、交通事故の怪我に対して保険が適用されます。自動車などのモノに対しては適用されません。 自賠責の慰謝料は、1日あたり4200円 …

no image

全損になった時の示談

全損にも何パターンかありますが、対物賠償の全損の示談について書こうと思います。 対物賠償の全損は、修理費用が時価額を超えた状態のこと。 時価額とはその車の現在価値を金額にしたものです。 修理費用がいく …

no image

過失割合とは

にほんブログ村保険情報 人気ブログランキング保険情報 過失割合とは、交通事故における双方の責任の度合いを割合であらわしたものです。 過失、という言葉は業務上過失致死とか、自動車運転過失致死傷罪とか、マ …

no image

無過失主張

にほんブログ村 保険情報 自動車事故の担当をしていると、しばしば示談が難航します。 その原因の一つが「無過失主張」。 双方に過失責任が出る交通事故で、自分に過失はないと主張することです。 ゼロ主張とも …

no image

若葉マーク、シルバーマークは過失に関係

にほんブログ村保険情報 人気ブログランキング保険情報 初心者マーク(若葉マーク)、シルバーマーク(もみじマーク)をつけた車と交通事故を起こすと、過失割合を1割ほど多くされる場合があります。 若葉マーク …